金投資、他の投資対象と比較したときの優位性
金投資にどのようなメリットがあって、どういう面ですぐれているかを、今度は他の投資対象と比較しながら見てみましょう。
金投資のメリットと人気、初心者の基礎知識。 でも述べましたが、株式や債券などのペーパーアセットは基本的に「発行体の信用」に依存しています。
国債なら国の信用、社債ならその会社の信用がどうかということになります。
民間企業の株式・社債はいまや、たとえ一部上場企業であろうとも、つねに万一の破綻リスクを考えざるを得ないご時世となっています。
2008年における国内上場企業の経営破綻は戦後最多の33社、2009年に入ってからはすでに17社が破綻(5月現在)しています。
それでは、国債を発行する我らが日本国の信用リスクはどうでしょうか。
国債は国内で大半が消化されており、累計発行残高が542兆円(2007年度末)もあって将来的リスクこそ完全に拭えないものの、500兆円の政府資産・1400兆円の個人金融資産をバックにしたその信用は依然として強固なものがあり、活発に取引されています。
しかし日本国債の利率(リターン)があまりに低いため、まずまず安全ではあっても、個人の資金運用としてのうまみはなさそうです。
また個人向け国債は5年の固定型と10年の変動金利型がありますが、10年ともなると現状の日本経済の状況からして、金利動向の先読みがかなり難しそうなことなども、個人が行う投資としてはマイナス要因となります。
外債投資の場合はこれに為替動向もからんでくるので、なおさら判断が難しくなります。
金投資にはこのような発行体への依存、すなわち信用リスクが無いことから、万一の信用不安が発生して株式や債券が値下がりする局面においても、その資産価値を維持することができます。
金価格は、株価と基本的に「逆相関関係にある」と言うこともできます。
これは金投資が分散投資の一対象として重視されている理由のひとつです。
また金は取引市場が国際的に確立していることから、いざというときに換金処分できなくて困る...といったこともありません。
「金は資産の保険」と言われるゆえんです。
不動産投資は、投資物件が優良であるならば高い収益・利回りが期待できるものの、不動産の魅力そのものが乏しかったり、あるいは時間の経過によって投資物件に瑕疵が生じたりすると、その本質的な価値が大きく失われていくことになります。
たとえば賃貸ビル経営ならば、時間の経過や周辺環境の変化によって物件の価値自体が有形無形に劣化していくリスクを最初から抱えてスタートすることになります。
金投資においては、対象物となる金の劣化リスクはほとんどありません(これを「金は退蔵性に優れる」と言います)。
腐ることもなければ、万一の火事においても溶けて変形するリスクこそ多少はあるものの、アパートやビルが全焼するがごとく、跡形も無くなってしまうことはありません。
ただし金を現物保管する場合の弱点としてはご想像のとおり、不動産にはない持ち運びの手軽さ・匿名性から起こる「盗難リスク」がありますので、その点にはよく注意する必要があります。
原油や小麦といったいわゆる「コモディティ商品」は、取引市場こそ確立しているものの、個人としては現物での保管が難しいですし、通常は先物取引のかたちで入らざるをえません。
ただし市場価値という面でみると、原油は埋蔵量が金よりもはやく枯渇するといわれていますし、消耗品であることからくる一定の限界値が存在します。
限界値という点では小麦なども同様ですが、これらは生産調整や天候変動による価格変動リスクがきわめて高いことから、個人で対処するにはそれらのリスクにかなり神経をとがらせて相場に向かう必要があります。
金価格ももちろんさまざまな要因によって変動しますが、金先物市場を中心に取引市場の十分な厚みがあることに加え、特殊要因によって現物の供給が短期間で急激に変動することなどもまず無いことから、個人にとっては安心感のある投資が行いやすい環境となっています。