金投資のリスクとは~為替リスクと価格変動リスク
金投資の基礎知識~金相場の過去の推移を知る においてこれまでの金相場の推移をみてきましたが、日本国内で金価格をみる場合に注意しておかなくてはならないことがあります。
まずは円の為替レート、すなわち日々の対米ドル相場の影響があります。
国際価格はトロイオンスで単位が統一されていると言いましたが、日本国内における金価格は「1グラムあたり何円」と表示されます。
これはニューヨーク市場のドル建て価格(基準価格)を一グラムあたりの値段に換算し(すなわち、ドル建て価格を31.1035グラムで割る)、その後に円ドルの為替レートを乗じて計算します。
そして国内の取扱各社が、その価格(店頭小売価格)を毎日午前中(午前9時半~10時前後)に発表しています。
発表は一日1~4回など複数回公表されることも多く、変更時刻も決まっているわけではありません。
また相場の急変時には、各社とも一日に数回価格を見直すのが普通です。
そしてこの上に各社が保険料や手数料など諸費用を独自に上乗せし、さらに消費税を加算して、それぞれの最終価格(店頭小売価格)が決定されます。
したがって金を取り扱う会社(地金商)によっても、金価格に違いがでてきます。
また販売価格には手数料などが上乗せされていますが、逆に買取価格においては手数料などは差し引いて決められるため、販売価格と買取価格間においても通常は差(スプレッド)が生じることになります。
上記のプロセスで価格が決定されるということは、為替レートだけに注目すると、ドル高(円安)のときは国内の金価格が上がり、逆にドル安(円高)のときには国内の金価格は下がることになります。
国内経済が円高基調のときに国内で金投資をする場合は、この点はマイナス材料になるわけですね。
ドル高=ドルが強い、すなわち円が安いということですから、1グラムあたりの値段に換算した後に掛ける円レートの金額は大きくなります。
したがってドル高(円安)が進むほどに、国内の金価格は高くなります。
ドル安円高になったときは、その逆として考えればよいですね(すなわち金価格(ドルベース)とドルは、基本的に「逆相関(負の相関)」の関係にあるわけです)。
したがって自国通貨である円の価値が下がる「円安」をヘッジする一方法としてみた場合、金投資は有効な通貨分散法としても期待できるわけです。
ちなみに円は1ドル360円の固定相場制の時代から、1971年のニクソン・ショックを経て最終的に変動相場制に移行、2017年前半の現在は1ドル=110~120円前後です。
通貨価値が3倍以上に切り上がったわけですから、以下に金と言えども、日本国内での円預金をしのぐパフォーマンスを今日まで生み出すことはできませんでした。
しかし国が政策的な円安誘導を続ける現在の日本においては、いよいよ資産防衛策として金が本領を発揮する時代に入りつつあるのかもしれません。
さて、その時の為替レートを最後に掛けて国内価格を決定するしくみのため、金の国内価格は為替レートいかんで大きく変わってくることになります。
国際金価格が2倍になったときで、対米ドルで円が2倍になると(急激な円安)、×2×2=4で国内価格は4倍になる計算です。
逆に国際金価格が半分(0.5倍)で対米ドルで円も半分の0.5倍(急激な円高)になると、×0.5×0.5=0.25で、国内価格は4分の1になる計算です。
ただしこれは為替レートの影響に絞った話で、実はドルが上昇傾向のときは国内価格を計算するためのおおもとになる「金市場のドル建て価格」そのものは、下落する傾向にあります。
これはドルが強くなって各国の金価格も上がることにより、先々のドル上昇の持続を見込んだ買い控えや売りなどが出やすくなるためです。
逆にドルが下落傾向のときは、各国においても金が買いやすい値段になってくることで、ドル建ての金価格は上昇傾向が強まってきます。
このように「金のおおもとの市場価格が、需給などさまざまな要因を反映して変わってくること」を「価格変動リスク」と呼んでいます(ちなみに投資の世界ではリスクは「危険」ではなく、「ものごとの変動における不確実性やその要因」を指しています)。
外国株式や外国債券、為替などと同様に、金投資を行うにあたっては「価格変動リスク」「為替リスク」の二つがあることを、きちんと認識しておかなければなりません。
とりわけ国内における金投資では、為替リスクが非常に大きな影響をもたらす点によく注意しておきましょう。
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